「新築を建てたいけど、今の家が壊される間、どこに住めばいいんだろう…」
「仮住まいの家賃も、引っ越し費用もバカにならないし…」
もし、あなたがそんな悩みをお持ちなら、今日お話しする「住みながら新築」という選択肢が、あなたの夢を叶える光明になるかもしれません。
一般的な新築住宅の建設では、まず既存の家を解体し、更地にしてから新しい家を建て始めるため、工事期間中は仮住まいへの引っ越しが必須とされています。
しかし、今回ご紹介するのは、今お住まいの住宅をそのまま残し、同じ敷地内に新しい住宅を建ててから引っ越し、その後既存の家を解体するという、まさに「引っ越し不要」な方法です。
「え、そんなこと本当にできるの？」
そう思われた方もいらっしゃるでしょう。
はい、可能です！ただし、そこには緻密な計画と高度な技術、そして関係機関との密な連携が不可欠となります。
今回は、実際にこの「住みながら新築」を実現されたA様邸の事例を通して、成功への秘訣を解説します。
まずは、「住みながら新築」がもたらすメリットと、同時に覚悟しておくべき課題について整理しましょう。
【メリット】
仮住まい・引っ越し費用が不要: これが最大の魅力。家賃や敷金・礼金、そして２回の引っ越し費用（仮住まいへ、新居へ）が丸ごと節約できます。
住み慣れた環境を離れない: 小さなお子さんがいるご家庭や、地域コミュニティを大切にしたい方にとって、現在の学校区や近所付き合いを維持できるのは大きな安心材料です。
生活の負担が少ない: 工事中も自宅にいるため、生活用品の整理や収納場所の確保などに悩む必要がありません。
【課題・注意点】
緻密な計画が必須: 敷地の形状、既存建物の配置、新築する建物の大きさ、日当たりや風通し、隣地との関係など、あらゆる要素を考慮した綿密なプランニングが必要です。
高度な技術力と経験: 既存建物に隣接して工事を進めるため、騒音、振動、粉塵などの対策はもちろん、狭いスペースでの作業や重機の搬入・配置など、施工会社の高い技術力が求められます。
法規上のハードル: 建築基準法や各自治体の条例など、複雑な法規をクリアする必要があります。特に確認申請の審査機関との事前協議は非常に重要です。
工事中の不便さ: 生活しながらの工事となるため、一時的なライフラインの停止や、騒音、振動、人の出入りによるプライバシーの問題など、ある程度の不便さは覚悟が必要です。
これらの課題を乗り越えるためには、経験豊富な設計事務所や工務店、そして確認申請のプロである建築士との信頼関係が不可欠となります。
プロジェクト始動！A様邸「住みながら新築」成功への道のり
それでは、実際にA様邸でどのように「住みながら新築」プロジェクトが進められたのか、その具体的な工程を追ってみましょう。
ステップ①：スペース確保の第一歩
A様邸の敷地は、新築住宅を建てるにはギリギリの広さでした。そこで、まず最初に行ったのは、新築予定地の片隅にあった小さな物置の解体です。
新築住宅の基礎工事や、その後の躯体工事を進める上で、作業スペースや資材置き場を確保するための重要な一歩でした。
ステップ②：既存建物との共存と調整
敷地内の限られた空間で新築工事を進める上で、既存住宅の存在は常に意識しなければなりません。A様邸では、既存住宅の庇（ひさし）や設備が足場の設置の邪魔になることが測量でわかっていました。
そこで、新築工事に支障をきたす部分の庇を部分的に解体する判断を下しました。また、給湯設備も、一時的に移設する処置を取りました。
これらの作業は、Ａ様が住みながら行われるため、生活への影響を最小限に抑えるための綿密な計画と、イレギュラーな状況への対応力が求められる場面です。
ステップ③：夢の新居、そして引っ越し！
基礎工事、躯体工事、内装工事と、約5か月をかけて新築住宅は着々と完成へと近づいていきました。既存住宅のすぐ隣で、新しい暮らしの舞台が形作られていくのは、A様ご家族にとっても喜びと期待に満ちた時間だったことでしょう。
そして、いよいよ新築住宅が完成！電気、水道、ガスのライフラインも新しい家へ切り替えられ、いよいよA様ご家族の引っ越しです。
最大のメリットは、「敷地内移動」による引っ越しであること。隣の家へ移動するだけなので、引っ越し業者を頼む必要もなく、荷物の運搬も自分たちでスムーズに行えました。大きな家具の移動も、すぐ隣なので圧倒的に楽だったとA様も仰っていました。
ステップ④：歴史ある住まいの終焉と新たな始まり
新しい家での生活が始まってから、いよいよ既存住宅の解体工事が始まりました。長年住み慣れた思い出深い家との別れは寂しいものですが、新しい家での生活が始まった後であれば、精神的な負担も和らげられます。
解体工事は、粉塵や騒音、振動を伴うため、近隣住民への配慮が非常に重要です。事前に工事内容や期間を丁寧に説明し、理解を得ることがスムーズな工事進行に繋がります。
ステップ⑤：暮らしを彩る外構工事の完成
既存住宅が解体され、広々とした敷地が出現した後、外構工事がスタートしました。駐車スペース、アプローチなど、家と一体となったエクステリアを整えることで、住まい全体の魅力が格段に向上します。新築住宅のデザインに合わせた、機能的で美しい外構が完成し、全ての工事が完了しました。
「住みながら新築」を成功させるための秘訣
Ａ様邸の事例からも分かるように、「住みながら新築」は決して簡単ではありません。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえることで、実現することが可能になります。
- 信頼できるパートナー選び: 何よりも大切なのは、この「住みながら新築」の経験と実績が豊富な設計事務所や工務店を見つけることです。緻密な計画力、高い施工技術、そして法規への深い知識を持つプロフェッショナルでなければ、このプロジェクトは成り立ちません。
- 綿密な打ち合わせと計画: 設計事務所や工務店と密に連携し、敷地条件、家族構成、ライフスタイル、将来の展望まで、あらゆる要素を具体的に言語化し、計画に落とし込むことが重要です。特に、工事中の生活への影響についても、事前に詳しく説明を受け、納得しておく必要があります。
- 関連法規の事前協議: 建ぺい率、容積率、防火規制、高さ制限、日影規制など、建築基準法は多岐にわたります。敷地内に既存建物がある状態で新築する場合、隣地との離隔距離の確保など、通常の建替えとは異なる問題が生じる可能性があります。確認申請機関との事前協議を綿密に行い、法的なクリアランスを得ることが、トラブルなく工事を進める上で必須となります。
- 近隣住民への配慮: 工事期間中、騒音や振動、粉塵などで近隣の方にご迷惑をおかけする可能性があります。着工前の挨拶はもちろんのこと、工事の進捗や作業内容を適宜報告するなど、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
- 生活への心構え: どんなに配慮しても、工事中は多少の不便やストレスが生じるものです。それを事前に理解し、受け入れる心構えを持つことが、快適に「住みながら新築」を進める秘訣となります。
まとめ：あなたの夢を諦めないで！
「引っ越しなしで新築を建てたい」という願いは、決して絵空事ではありません。今回ご紹介したＡ様邸の事例のように、適切な知識と経験を持つプロフェッショナルと出会い、綿密な計画を立てることで、あなたの夢は現実のものとなります。
仮住まいの心配や、度重なる引っ越しの煩わしさから解放され、住み慣れた土地で、新しい生活をスタートさせる。そんな理想の住まいづくりに興味を持たれた方は、ぜひ「住みながら新築」の経験豊富な建築のプロに相談してみてください。あなたの理想のマイホーム、きっと実現できますよ！
